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これからは、市民がまちの主役 対話の場

地域に住む子どもから、おじいちゃん、おばあちゃんまで幅広い年代が、ともに自分の住む地域の魅力や課題、未来を考え、気付き、育てていく。そんなふうに、市民が未来を描き、まちづくりに取り組む機運を高めるため、ワークショップ「対話の場」を市原市役所と共同で開催しています。 談:小川起生 2022年2月1日 文責:Mizuno Atsumi

「対話の場」参加者の一枚

これまで、「まちづくり」といえば、行政が主体で進んでいくものであり、役所が決めた計画を市民に説明し、受け入れてもらうというのが一般的な流れでした。

ですが、人口の減少とともに、行政の財政難や人材不足も進み、そういった従来のかたちでまちづくりを継続していくことが難しくなった近年。自分たちにとっての「豊かな日常」とはどんなものなのか?また、どんなまちをつくっていきたいのか?というのを市民が自ら考え、行動していかなければいけない時代になりました。

ここ数年、そういった市民主導のまちづくりが進んでいる地域も出てきたとはいえ、そんな事例はまだまだごく一部。まちづくりの方向性を変えるのは、簡単なことではありません。そこで、まずは市民が、民主的にまちづくりをすすめていく機運を高めたいという市原市役所の想いを受け、2020年度から「対話の場」というワークショップを開くことになりました。

地域に住む子どもから、おじいちゃん、おばあちゃんまで幅広い年代が、ともに自分の住む地域の魅力や課題、未来を考え、気付き、育てていく。そんなふうにまちづくりをすすめていけるよう、まずは、市民がまちの未来を描き、まちづくりに対して前向きになってもらうのが、「対話の場」第一歩目のゴールです。

選抜された市東と青葉台を舞台に、ワークショップは三日間かけて行います。

参加者間のつながりを生むことに重点を置きつつ、他の地域のまちづくり事例を知り、自分たちがまちづくりに関わることへの期待感を醸成する一日目。地域の資源や、魅力、課題を把握する二日目。そして、それらをふまえて、具体的にどんなアクションを地域内で起こしていけるのかを考え、共有する三日間です。

地域の魅力を知るため、一日目に行われた市東での「地域物産展」。どんなふうに地域ならではの特産物をかけ合わせたら、地域外の人にも楽しんでもらえるのかを考える時間にもなりました。
魅力や課題を地図化する二日目の様子。魅力や課題を俯瞰することで、両者は表裏一体だという気付きが生まれました。

一日目と二日目のワークを終え、三日目はいよいよ未来の話をする時間。地域の課題も魅力に変換する方法を考えながら、地域でどんな活動を起こしていけるのかをグループごとに考えました。

職人技をもった方が地域にたくさんいるという市東の特性を活かして考えられた「自然塾・匠塾」。竹細工など、自然のものを使った技や道具づくりを学べる塾をつくり、さらには、そういった技術を発表する場としてマルシェなどを開催するという構想です。
手入れされていない竹やぶがたくさんあることに着目し、「市東竹炭」というブランドで、書道などに使う良質な竹炭を生産し、処理に困っている地元の竹を買い取るアイデアが生まれました。

まちに正解はない

どんなまちが「良いまち」なのかという答えは、ありません。それは、「対話の場」の舞台となった市東や青葉台はもちろんのこと、五井を中心にまちづくりに取り組む私たちオープンロードにとっても同じこと。

人もまちも、「こうしたらこう動く」というテンプレがなく、生まれたアイデアがうまくすすむときもあれば、停滞するときもあります。ワークショップの参加者の方と一緒になって、まちづくりを考えたり、試す中で、自分たちも日々勉強しています。

2020年度に開催された「対話の場」を通して、空き家という課題が見えた青葉台では、その後、魅力塾も経て、「青葉台ノアール」という高校生を中心としたカフェが生まれました。市民によってまちづくりが加速した事例です。

まちづくりには、アイデアはもちろんのこと、最も重要なのが関わる「人」。まちに魅力を感じる人が増えるほど、そこに住むことが楽しくなる人が増え、まちに活気がわいてきます。

オープンロードでは、今後もそんな市原を目指し、まちづくりを活気づける仕掛けづくりに、引き続き取り組んでいきます。

本文に登場した関係者のみなさん(五十音順)

  • 市原市役所地域推進課

    市民活動活性化の後押しを目指す。

  • 小沼ゆい

    オープンロードスタッフ。市原市生まれ。2020年からCo-Satenを拠点に市原市でまちづくり活動をしている。

  • 原麻里子

    オープンロードスタッフ。大学卒業後パーマカルチャーや持続可能なコミュニティーづくりを実践するためにオーストラリアへ渡る。海外から日本を俯瞰することで、日本の伝統文化や四季折々の生活の知恵の魅力を再認識し、帰国後は南いちはらを主な拠点として活動中。

  • 平野陽太

    千葉大学を卒業し、大学発ベンチャー企業「ミライノラボ」で研究員として千葉県の地方創生に携わる。春から大学院生として、地域×教育をテーマとした研究に取り組みながら、若い世代が地域から学び、地域で学べる場の実現を目指す。

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