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地域のハブになる場所を作りたい Co-Satenプロジェクト

JR内房線と小湊鉄道がぶつかる五井駅の西口で、オープンロードが運営しているカフェ兼イベント&コワーキングスペースCo-Saten。何を目的に作り、どのように運営しているのか、そして将来に向けてどのような展望を持っているのかをご紹介します。 談:小川起生 2020年6月17日

民間で、地域のハブになる
場所を作りたかった

 オープンロードはまちづくりを仕事にする会社として活動していますが、当然弊社だけでまちづくりができるとは思っていません。行政はもちろん、地域で様々な活動をしている人たちと、協力してまちを作っていきたいと考えています。だからこそ市原市内に点在している地域で何かしらの活動をしている人たちがお互いに知り合ってつながっていく必要があると考えてCo-Satenプロジェクトを始めました。最初に考えていたことは地域のハブを作ること。しかもそれが行政ではなく民間で作れたら面白いことになるのではないか?そんなことを思いプロジェクトを始めたのです。
 そんな折、私事ですが2017年に祖母が亡くなり、葬儀を行ったお寺のご住職に、五井駅西口の商店街シンコープラザの空き物件を紹介していただきました。ただ、初めて物件を見学に行った時の最初の感想は「これは絶望的だな……」。以前にそこで経営されていた飲食店が出ていったままの状態で長年の汚れや傷みもひどく、ここで何かを始めるのは厳しいなというのが第一印象でした。けれどもその前年に僕は九州で、使われなくなった空き物件を再生し、地域の価値を高めていくことを学ぶリノベーションスクールを受講していました。その経験を思い出し改めてシンコープラザの物件を見直すことで「ここでもやっていけるかもしれない」という予感も湧いてきていたのです。

探していた
「伴走してくれる建築家」

 そんな中、いすみ市で行われたイベントで建築家の黒沢健一さんと知り合いました。黒澤さんは市原の西国吉でkurosawa kawara-tenという建築事務所を経営されています。彼は地域で使われなくなった空き家を改修して自らの事務所やスタッフの寮にするというユニークな活動をしていました。Co-Satenを作るにあたって、かねてから、プロジェクトに伴走してくれる建築家を探していた僕は「これは黒澤さんと一緒にやるしかないな」と直感、すぐにオファーを出しました。さらに黒澤さんに紹介いただいたグラフィックデザイナーの藤原さん(しなやかデザイン)、オープンロードスタッフの右田仁輝たちとともにシンコープラザのボロボロの空き物件からプロジェクトを始めることに決めたのです。

作り上げる過程も
地域の交差点にしたかった

 その後五井会館や工事前のCo-satenに何度も集まって話し合いを重ね、みんなでウンウン唸りながらCo-Satenという名前、交差点を作るというプロジェクトのコンセプトを決めていきました。 内装工事もできるだけ多くの人に関わってもらいたい、作り上げる過程自体も地域の交差点にしたいと考え、壁塗りや家具作りなどを地域の人や大学生に手伝ってもらい作り上げました。その結果、通常であれば数週間で終わる工事に3ヶ月かかりましたが、それはとても意味のある3ヶ月だったなと感じています。

商店街の昔の姿を、
現代版に作り直したい

 物件を紹介してくれたご住職が以前見せてくれた1枚の写真があります。それはシンコープラザができたころのもので、魚屋、八百屋、眼鏡屋などがお店の中ではなく外に商品を並べていて、市場のように活気ある商店街の様子が写された写真でした。今ではショッピングモールなどにお客が流れてしまいシャッターが閉まったままのお店も多いシンコープラザ。かつて商店街にあったような八百屋や魚屋は必要とされなくなってしまったのかもしれません。けれども今の時代に必要とされるお店や場所を新しく作っていくことで商店街を現代版にアップデートできるのではないでしょうか。その最初の一歩としてCo-Satenのオープニングパーティーは、あえてCo-Satenの中ではなく、古い写真で見たようなお店の外、商店街の道をメインにしたパーティーにしたいと考えました。
 2019年1月15日に行われたCo-Satenオープニングパーティーは、道にテーブルを出し、商店街の飲食店に食べ物を出してもらい、飲み物も来場者が各店舗で買って飲むスタイルで行いました。地元の人はもちろん、商工会、市役所、市長など100人近くの人が集まったその日、Co-Satenはスタートしたのです。

まちづくり関係を中心に
年間80本程度のイベントを開催

 その後、月10本のイベント開催を目標に運営を続け、2019年の1年間で、約80本のイベントを開催してきました。どのイベントも印象的ですが、その中から2つほど記憶に残っているものをご紹介させてください。

米沢の森を考える会

 1件目は市原の各地で開かれている「米沢の森を考える会」のCo-Saten版。全3回で行われました。考える会代表の鶴岡清次さんに、山桜やコナラなどの巨樹・古木が残る自然林米沢の森についてお話しいただきました。イノシシ肉をいただきながら、活動の内容、森の課題など、年齢も職業も違う様々な立場の方々が考えを伝え合う穏やかな時間となりました。

イベントの様子はこちら

まちの未来は『公園』から?

 2件目は地域にとって大切な場所、公園について考える「まちの未来は『公園』から?」です。これまで公園がどのように管理され、どのように使われてきたか、そして公園をもっと自由に使うためにはどうしたら良いのかについて、直近の公園法改正に携わった元国交省の公園緑地課長、町田誠さんに語っていただきました。この日は本当に多くの方に来場いただき、公園、そしてまちづくりへの関心の高い人がこの地域にたくさんいることを実感することができました。

イベントの様子はこちら

いちはら“福業”スクール 新プロジェクト中間発表会/2020年2月22日(土)
音の交叉点vol.1「WAIWAI STEEL BAND」/2019年8月16日(金)

1周年記念イベント
「365日目 商店街が1つになる日」

 2020年1月14日にはCo-Saten1周年を記念して「365日目 商店街が1つになる日」を開催しました。基本形式は1年前のオープニングパーティーと同じ、道にテーブルを出して各店舗から飲食を提供してもらうスタイル。しかし形式は同じでも2019年のときとはちょっと違うイベントになったように思っています。まず飲食をするだけではなくいくつかの企画を行いました。参加者に今年の抱負を習字で書いてもらったり、道に芝生を敷いたり、武田屋作庭店の武田眞幸さんに小さな庭を作ってもらったり、イベントの様子をネット配信するなど、1年間で鍛えられたCo-Satenの企画力を思う存分発揮して、より皆さんに楽しんでいただける空間を作りました。また、商店街の他店舗との関係も大きく変わりました。最初Co-Satenをオープンした時は「一体なんの店なんだ?」と怪しまれていた僕らですが、この1年間で交流を続け、理解をいただいたことで、1年前とは比べ物にならないような連携ができるようになったのです。そして何より参加者の雰囲気もだいぶ変わりました。1年間通して続けてきたイベントで地域の人同士つながりが増えたことで、この日は来場者同士のコミュニケーションも1年前より多く、また自然に会話が生まれていたように感じました。みなさんイベントを楽しんでくれたようで、遅い時間まで笑い声が響いていたことが印象に残っています。

コロナ禍のその先、
未来のビジョン

 2020年6月現在、世界は新型コロナウイルスによって大きな苦境に立たされています。人が集まる交差点を目指し運営してきたCo-Satenについてもそれは同じです。人が集まれない、イベントができない状態となり、この場所を手放すことも一瞬頭をよぎりました。けれども1年間で生まれた数多くの交差点の動き、ひいては市原の未来に向けた歩みをここで止めるという判断はありえません。この状態が収束するまではオンライン/リアルイベントのハイブリッドを目指し、新しいCo-Satenののスタイルを模索していきます。そしていずれコロナウイルスがなんらかの形で克服されたその時にはまた、本来のCo-Satenの姿を取り戻したいと考えています。
 さらに、その先のビジョンとしてオープンロードはCo-Satenを中心に様々な仕事を作り、雇用を生み、市原を若い人たちが楽しく暮らせるまちにしていきたいと考えています。すでにCo-Satenには大学を卒業したばかりの小深山徹さんや、オーストラリア留学から帰国した原麻里子さんが積極的に関わってくれているなど少しずつ変化の手応えを感じ始めています。
 また、Co-Satenは小さなお店ですが、ここで得た場を運営していく経験を生かし、もっと大きな施設の運営に関わることも目指しています。より大きな場所、例えば公園や五井会館の有効活用など、より地域に強い変化を起こせるための準備を、今はコロナ禍のCo-Satenでビジョンを描き、力を溜めています。これからもCo-Satenにも乞うご期待ください!

本文に登場した関係者のみなさん(五十音順)

  • 黒沢健一さん

    式会社kurosawa kawara-ten代表。1982年千葉県市原市生まれ。

  • 小深山徹一さん

    大学で市原市の都市計画について研究。地元牛久で商店街の活性化に取り組み、2018年秋に上総牛久駅で小湊鉄道のトロッコ列車の乗客に、商店街の飲食物を販売する出張牛久商店街を実施。小川氏、右田氏と共にCo-satenの運営の一員となる。

  • 武田眞幸さん

    武田屋作庭店。1985年市原市山田橋(現国分寺台中央)出身。

  • 鶴岡清次さん

    市原米沢の森を考える会代表。

  • 原麻里子さん

    Co-SatenをHUBにし、市原市の地域の垣根や国境をこえて市原市に関わる人の循環をつくり出すプロジェクトを発案中。海外と地域をつなぐコミュニティーコーディネーター。

  • 町田誠さん

    千葉大学・横浜市立大学非常勤講師 SOWING WORKS 代表。直近の公園法改正に携わった元国交省の公園緑地課長。

  • 右田仁輝さん

    オープンロード合同会社所属 。1993年千葉県市原市島野出身。

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