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地域で活動するプレイヤーがうまれ、つながる場 2021年度いちはら魅力向上塾

地域で活動するプレイヤーが増え、さらに、そうしたプレイヤー同士がつながることができれば、これまでよりももっと地域を盛り上げる動きが加速するのでは?という思いで、市原市との共同事業としてはじまったのが、地域共創プロジェクト「いちはら地域魅力向上塾」です。 談:小川起生 2022年1月21日 文責:Mizuno Atsumi

2020年11月〜12月に開催された「いちはら地域魅力向上塾(以下、魅力塾)」は、講義と実践が組み合わさった5日間のスクール。選抜された青葉台/市東エリアを舞台に、5名ずつ集まった地域の市民と、地域外に住む人が共に協力しながら、経験豊富な講師のもと、地域ならではの資源を発見する市民との対話やフィールドワーク、資源を活かしたイベント・商品の企画、実践までを目指します。

地域で活動する人を増やし、さらに、そうした活動を横につなげることで、地域を盛り上げる力を加速できないか?と、市民団体の活動を応援する地域連携の部署から相談を受けてはじまった「魅力塾」。

地元の人にも参加者となってもらい、内と外の境界線をとっぱらう。
実践経験の豊富な講師から、ブランディングやデザイン、発信について学ぶ。
地域に根差した人のローカルな知見と、新たに関わる人の発想を組み合わせて、「ここにしかない特別なもの」をつくる。

そうした学びと実践を組み合わせ、共に活動する仲間を見つけられるようなプログラムにすることで、実際に地域で活動するプレイヤーを増やし、また、それぞれの活動がつながるきっかけを生み出すのが、プロジェクトの目的です。

自分たちの足や目で情報を得るフィールドワーク
地域の人と一緒になって行うワークショップ
地域でつくられる農産物をいかす魅せ方を考案するために、食べ合わせを試行錯誤する様子

地域に紐づいたテーマをもとに、企画する

今回のプロジェクトの対象となった市東と青葉台には、それぞれ地域の特色にあったテーマが用意されました。山間地域に位置する市東は、『自然資源をいかした商品開発』。一方で、団地が多く建ち並ぶ青葉台では、『空き家や空き店舗の活用を含む商業の活性化』をゴールとして、参加者がワークに取り組みました。

また、それぞれのテーマに合わせ、市東では、岡山県西粟倉村の山間地域でパイオニアとして活躍する大島正幸さん、そして、青葉台では、市原市で団地や空き家再生に取り組むkurosawa kawara-tenの黒沢健一さんに講師として登壇いただきました。

写真左が黒沢さん、真ん中が大島さん


市東では、「子どもが継ぎたくなる農業」を提唱し、地域で農業に取り組む株式会社ワンドロップファームの事業を伸ばす企画として、クラウドファンディングをどのように活用するのが効果的なのか?といったアイデアを提案したり、青葉台では、花が少ないという景観の課題をふまえ、まちに花を増やす「ohanaいっぱい活動」が立ち上げられたりといった動きがうまれました。

そのなかでも、特に大きな進展は、姉崎高校の生徒が中心に運営する喫茶店「青葉ノアール」の誕生です。

「青葉ノアール」は、「いちはら魅力向上塾」や「対話の場」を通じ、高校近くの青葉台団地の方と高校生との間に交流がうまれたことをきっかけに、青葉台商店街の空き店舗を利用し、立ち上げられた喫茶店。ここを拠点とし、高校生と地域の人とのつながりが広がっていくことを目指したプロジェクトです。

青葉台団地の方と交流することで、自分たちの学校生活だけではなかなか分からない地域の課題や仕事の話などに触れる機会になり、もっと話を聞いて学びたい!自分たちの知らない街の魅力を知りたい!と思うようになった高校生の想いが原動力となりました。

青葉台町会協議会からのサポートを受けながら、姉崎高校の生徒会のメンバーを中心にプロジェクトが進められました。

この「青葉ノアール」の立ち上げに際し、行われたクラウドファンディングでは、目標金額の100,000円を大きく超え、462,000円を集め、また、プロジェクトを後方支援した青葉台町会協議会は、2021年11月「あしたのまち・くらしづくり活動賞」にて内閣総理大臣賞を受賞するなど、多くの人から注目をいただくプロジェクトに育ちました。

地元の高校生にとって「青葉ノアール」は、社会の大人とつながり、社会経験を積む貴重な拠点にもなり、また、商品にイチジクなど地元の特産品が活用されるなど、地域と高校の新しい連携が広がるきっかけがうまれています。

いちじくを使ったスコーン

自分の地域に、魅力を感じられるようになることを目指して

2022年1月から、2回目の開催がはじまっている「魅力塾」。地域の人だけでなく、地域外の人も混じり合って課題解決を目指すこの活動が続いていくことで、地域に住む人だけでなく、地域の外からもかかわる人が増えていくように意識して、これからも取り組んでいきたい。

その結果、地域に住む人たちが、より自分たちの地域に魅力を感じられるようになればという想いを込め、これからも市原市役所と協力しながら、プロジェクトを継続していきたいと考えています。

本文に登場した関係者のみなさん(五十音順)

  • 市原市役所市民生活部

    市民活動活性化の後押しを目指す。

  • 大島正幸さん

    2009年に岡山県西粟倉村で『やがて風景になるものづくり』を掲げる「ようび」を創業。世界的に事例の少ない国産針葉樹の家具のパイオニアとして知られる。現在、家具やプロダクトデザインへの深い見識を活かし、大学や行政、民間と幅広い領域で学びづくりも手掛ける。

  • 黒沢健一さん

    株式会社kurosawa kawara-ten代表。1982年千葉県市原市生まれ。機能不全を起こしている地域が持続可能な状態をどうつくり出せるのかを追求しながら、建築と向き合っている。

  • 小沼ゆい

    オープンロードスタッフ。市原市生まれ。2020年からCo-Satenを拠点に市原市でまちづくり活動をしている。

  • 田中さん

    サンキュープロジェクトまちづくり委員会の委員長(当時)

  • 豊松洋右さん

    佐賀県の酪農家で生まれ、子どものころから家業を手伝いながら暮らす。しかし当時は、いい大学を出て、いい会社に入るか官僚になることがいい人生だと言われ、父親からはずっと農業を「継ぐな」と言われていた。自分が命がけで守り続けてきた仕事を、胸を張って子どもに勧められないのは哀しいことなのではないかと考え、「子どもが継ぎたくなる農業」を提唱する株式会社ワンドロップファームを立ち上げる。

  • 原麻里子

    オープンロードスタッフ。大学卒業後パーマカルチャーや持続可能なコミュニティーづくりを実践するためにオーストラリアへ渡る。海外から日本を俯瞰することで、日本の伝統文化や四季折々の生活の知恵の魅力を再認識し、帰国後は南いちはらを主な拠点として活動中。

  • 村島ゆき

    学生時代にのろしの地域活性プログラムに参加したことをきっかけに市原の活動に参画。現在は地域活動に参加しながら、アドレスホッパーとして色々な場所を巡り歩いている。

  • 吉成さん

    まちづくり協議会の会長

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